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変換で画質が落ちるときと、落ちないとき

「変換」と呼ばれている作業には、性質のまったく違う2種類があります。映像や音声を圧縮し直す再エンコードと、中身はそのままで入れ物だけを組み直すリマックスです。前者は必ず画質か音質を少し失い、後者は何も失いません。どちらが行われているかを知っていれば、変換で劣化するかどうかがその場で判断できます。

再エンコードとリマックスはどう違うのですか

中身のデータに手を入れるかどうかが違います。再エンコードは、圧縮された映像や音声をいったん展開し、別の方式で圧縮し直します。この工程では必ず情報が捨てられます。非可逆の圧縮とはそういうもので、2回通せば2回ぶんの損失が積み上がります。

リマックスは、圧縮されたデータをそのままの状態で別の入れ物に移し替えるだけです。映像のビットは1つも書き換わりません。処理も速く、ファイルサイズもほとんど変わりません。

ここでいう入れ物がコンテナです。MP4は映像トラック、音声トラック、メタデータをまとめて収める容器で、画質の設定ではありません。この区別はMP4と形式の選び方で詳しく扱っています。

同じ1080pのMP4なのにファイルサイズが倍以上違うことがあるのは、中身のコーデックとビットレートが違うからです。拡張子は中身を教えてくれません。

このツールは実際に何をしていますか

形式によって違います。何が再圧縮されて何がされないかを、そのまま書き出します。

選んだ形式行われる処理画質や音質
MP4(動画)映像と音声のストリームを1本のMP4にまとめるリマックス変わりません
M4A(音声)可能な場合は元のAAC音声をそのまま保持変わりません
MP3(音声)音声を再エンコード非可逆の変換が1回増えます

結合は再エンコードではありません

YouTubeは360pを超える画質で映像と音声を別々のストリームとして保存しています。ダウンロードのときにはこの2本を1本のファイルにまとめる必要があり、この作業をffmpegが行います。

ここで行われているのはリマックスで、映像は圧縮し直されません。結合しているのに画質が落ちないのはこのためです。仕組みは高画質でダウンロードする方法で詳しく解説しています。

MP3を選ぶと何が起きますか

音声が再エンコードされます。MP3という形式は、元のAACやOpusのデータをそのまま入れられないので、いったん展開してからMP3として圧縮し直すことになります。非可逆の変換が1回増えるという意味です。

その連鎖はこうなります。MP3の場合は、元の音源、プラットフォーム側のエンコード、こちらでのMP3エンコード、と2世代ぶんの損失が積み上がります。M4Aの場合は、プラットフォームのAAC音声をそのまま保持するので1世代で済み、ファイルも小さくなります。

それでもMP3を既定にしているのは、カーオーディオや古いプレーヤーを含め再生できる機器が圧倒的に多いからです。書き出しのビットレートを大きくしても元の情報は戻らないという点はMP3で音声を抽出するで数字つきに説明しています。

手元で形式を変えるより、選び直したほうが確実です

ダウンロードした後で形式を変えると、そこでもう1回の非可逆エンコードが入ります。720pのMP4を1080pに書き出し直しても、失われた情報は戻らず、ファイルが大きくなるだけです。音声も同じで、MP3をさらに別の形式に変えれば世代が1つ増えます。

必要な形式が決まっているなら、最初からその形式で取り直すほうが速く、品質も高くなります。取得しているのは常にプラットフォームが配信しているストリームなので、何度取り直しても劣化は積み上がりません。

用途で迷ったときの目安は単純です。編集するならH.264のMP4、スマホで見るだけならファイルの小さい720p、音声だけならM4AかMP3です。Facebookのように同じ動画にSD版とHD版がある場合は、HD版の見分け方も確認してください。

コーデックとコンテナを取り違えないでください

MP4はコンテナ、H.264やVP9やAV1がコーデックです。同じMP4という拡張子でも、中身の映像がH.264のものもあればAV1のものもあります。つまりMP4で保存すると決めても、画質も互換性もまだ何も決まっていません。

編集ソフトでMP4が開けないという相談の原因はほぼこれです。VP9やAV1は古い編集環境で対応が弱く、読み込めても扱いにくいことがあります。Premiere、DaVinci Resolve、iMovieのいずれで作業する場合でも、H.264のMP4が最も安全です。

このツールは映像H.264、音声AACという最も互換性の高い組み合わせを優先し、その解像度に他の選択肢しかない場合だけVP9やAV1のストリームを使います。YouTubeのダウンロードページで解像度を選んだときに何が返るかも、この規則に従います。

ファイルサイズは変換で決まるわけではありません

サイズを決めているのはビットレートです。解像度が同じでも、動きの多い映像は多くのビットを必要とし、フレームレートが倍になればさらに増えます。形式を選んだ時点でサイズが決まるわけではありません。

実測の目安はダウンロードのファイルサイズにまとめました。同じ動画のMP4 720pとMP3で、10倍近い差が出ます。

よくある質問

変換すると画質は落ちますか

処理の種類によります。映像と音声を1本にまとめるだけのリマックスでは落ちません。MP3のように圧縮し直す再エンコードでは、非可逆の変換が1回増えます。

MP4に変換すると画質が変わりますか

変わりません。MP4は入れ物なので、それ自体が画質を左右しません。画質を決めているのは中の映像コーデックと解像度です。

MP3とM4Aで音質に差はありますか

あります。M4Aは元のAAC音声をそのまま保持するため非可逆の変換が1回で済み、MP3は再エンコードが入るので2回になります。

ダウンロードした後で形式を変えてもよいですか

取り直すほうが確実です。手元での変換はもう1回の非可逆エンコードになり、映像も音声も少しずつ劣化します。

低い解像度を高い解像度に変換できますか

できません。ファイルの大きさは増えますが、存在しない情報を作り出すことはできません。

編集用にはどの形式がよいですか

H.264のMP4です。Premiere、DaVinci Resolve、iMovieがそのまま読み込めます。

実際に試す

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